悠久フィロソフィー

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あらためも2: 新たなるデッカスの形 とは

7月も1/2が経過したと聞いて絶望しました。あらためです。
人生規模で進捗ダメです。なんでだ。動画作ってるからか
 
 
不定期メモその2です。
今回は最近とみに目に耳にする「デッキのレベル」について。
 
 
 

○テーマ:「デッカス」あれこれ

 
あらかじめ断っておきたいのは、そもそも「デッカス」という言葉自体あまり上品なものではないということです。
だって「カス」ですよ。露骨に侮蔑している、ネットスラングのよくないところがもろに出ている。
ただ、この言葉で指されるところの人物像というものもあまりプラスな印象を抱かせるような類のものでもないため、仕方が無いといえばそうなるのかもしれません。
 
 
他に適当な言葉も見つからないのでひどく罵り口調な話になるかもしれません。あらかじめご了承ください。
何か良い案を知っている方がいらっしゃいましたら是非お教えください。
 
 
 

○クレーマーごっこ

 
さて、多くの方にはとうに聞きなれたものとなっているでしょうが、このデッカスという言葉とはそもそも何なのか。
この内容は、ごくごく簡単に言ってしまうと「ガチデッカス」「ファンデッカス」の2つに分類されます。
 
・ガチデッカス→「(性能・評価の低いカード・デッキに対し)そんな紙束使ってんじゃねえよ!」
・ファンデッカス→「(性能・評価の高いカード・デッキに対し)そんな壊れ使ってんじゃねえよ!」
 
わかりやすいです。
これら両ベクトルに向かってともに、主観的、というより私怨的に、どこか理不尽な「怒り」「不満」をぶつけてくるタイプの意見に対し、総じて「デッカス」という言葉が使われています。
あるいはそもそもそういった偏った見方しかしない姿勢までをも含む場合もあるのかもしれません。僭越ながら個人的な体験を挙げるならば「いや《神の宣告》くらい入れろよ」という旨の指摘をされたこともありました。
「(他人の)デッ(キに対して過度に口出しするような)カス」という程度の略語なのでしょうか。
 
 
「ガチ」「ファン」という言葉の指す内容すらも非常に曖昧であるのですが、便宜上、簡単に定義しておきたいと思います。
 
・ガチ→ショップ大会、選考会、CSなどで行われる遊戯王のプレイ
・ファン→身内、フリーデュエルなどで行われる遊戯王のプレイ
 
もちろん例外はいくらでもありますが、この点についてはまた後述するので今はひとまずこのくらいで。
 
 
「デッカス」という言葉は、1つには、この「ガチ」「ファン」間の軋轢に由来するものと考えられます。
というのも、見ての通り、「ガチ」とは「勝たなければならない」世界であり、「ファン」とは基本「勝っても負けてもその後に影響しない」世界です。
 
 
当然、前者のほうがよりシビアにもなります。トーナメントなどわかりやすい形式ですが、一度の負けがその後の出場権を奪うことにもなるわけです。
勝ちに直結しないカードは眼中にも入らないことでしょう。少なくとも私は非公認大会にて《光天使ブックス》を使用した際「え? なんですかそのカード?」と言われたことがあります。どガチな人でした。
全員が全員そうなるとは言いませんが、足を引っ張りうるカードに対して低い評価を下すのはもっともなことです。
その延長で、低い評価とされるカード・デッキを使う人物のことまで一緒に見下してしまうようなところ、に、問題があります。
 
 
対して「ファンデッカス」のほうは簡単に言えない理由があるので保留。
一言でまとめれば「私怨」なんですが。
 
 
さて、最初に「口出しする」という言い回しを使いました。
デッカスとは「口出しする」人物であるわけです。黙っていればいかに内心ゴミとか紙とか壊れとか言っていようがニコニコ遊戯王できるわけです。
その荒っぽい意見を「声に出して伝えようとする」。一つの自己顕示欲のようなものであるのかもしれませんし、自分の主義主張に正直なだけかもしれませんが、要するには配慮の足りない不躾な行動であるに過ぎない。
クレーマーみたいなものなのかなと思います。
 
 
この「口出し」という行為はネットの普及、特に匿名で意見を述べることのできる環境の整備とともに容易になってきたものであるということはピンと来るのではないかと思われます。遊戯王に限った話でもない。
大会結果、入賞レシピ、はたまた新弾情報や制限改訂などのいちいちに対するリアクションとして、必ずこういった意見は出てくるものです。
 
 
中でも今回注目したいのは「動画にまつわるデッカス」です。
 
 
 

○新しい領域=新しいクレーマー

 
 
遊戯王動画をよく視聴するようになり、また自分で投稿もするようになり、目に付くようになったことの1つに、「コメントの質」についてたびたび論じられていること、というものが挙げられます。
いわゆる「質の低いコメント」とは、上記のような「デッカス」的発言であることが多いように思われます。
先に例外を出すならば、「OPが長い」とか、「デッキ紹介が長い」とか、「音質/画質が悪い」「動画が重い」「うるさい」「発言が気持ち悪い」といったようなものでしょうか。これらは要するに「遊戯王の内容に対して」ではなく「動画そのものに対して」の文句ないし意見であり、私の前回のメモでは2番目の項に属するものです。
なお、もちろん、ネガティブな言葉を使っているからといって必ずしも質が低いというわけではありません。真っ当な指摘であるケースも多々あります。
 
 
「カードゲーム的」な要素に対する「質の低い」コメントとは、例えば、
・そのデッキ《○○》が強いだけじゃないか
・なんで《××》使わないの?
・【□□】なんか使ってたら勝てるに決まってる
・《△△》使ってるだけ
といった文面をよく見かけます。
私の認識では、こういった「カードの性能・評価とそれに対するネガ・ポジの向け方が独断的」なものが、よく取り沙汰されているものである、と思っています。
※間違っていたらご指摘ください。ここもだいぶ端折っているので必要であれば補足いたします。
 
 
話は変わりますが、私がツイッター等でよく見かける話題として、「どの程度のレベルのデッキならば動画で使うことが許されるのか」というものがあります。
 
 
つまり、あまりのパワーカードを使っても視聴者に上記のようなコメントを食らわせられ、しかし性能の低いカードばかりでは満足にデッキを回すこともできない、いずれにせよ「つまらない」デッキを動画に使いたくない、という、両翼を意識した結果として身動きがとれなくなっている状態です。
この「つまらない」という言葉についても多くの突っ込みどころがありますがそこは置いておくとして。
 
 
気になるのは、ここで意識されている、ほとんど仮想敵として描かれているところの視聴者=クレーマー=デッカス、とは、果たして何者であるのか、ということです。
強すぎても文句を言い、弱すぎても文句を言い。しかもそれが同じ動画シリーズ内で起こるというのはいくらか不思議なことでもあるように見えます。
 
 
ただし私見では「ファンデッカス」のほうが割合としては多いように思われます。
もともと「ガチ」な世界とは縁遠いもの、という了解のほうがより浸透しているためなのかもしれません。
逆に、「ファン」の延長で酷く凶悪な蹂躙をされては、どうにも虫の居所が悪くなるということでしょうか。
 
 
何が言いたいかというと、「動画」環境とは、「ガチ」とも「ファン」とも違う階層ではないかという話です。
 
 
動画に対して強すぎ/弱すぎといった文句が来るのは、動画の中身が視聴目的に適わないためであるといえます。
その視聴目的とは様々ですが、「面白いデュエルが見たい」「マイナーなカードを使ってほしい」「意外なコンボを披露してほしい」といった、以前少し見たようなもろもろの動機が考えられます。
要するには「見たい」わけです。
 
 
この「見たい」という要求は「ガチ」「ファン」領域にはあまりメインに据えられない要素であると思われます。
もちろん、上手い人の盤面捌きを見たいとか、気楽な勝負に居合わせたいとかいうことはあるでしょう。
 
 
動画環境がファン環境(だんだんファンという言葉に不信感が募ってきましたがひとまず放置)により近しいものであるのは、動画参加者同士に限定すればそういったカジュアルなレベルのことをやっているに過ぎないためです。
基本的に動画環境とはファン環境の延長です。ただし、決定的に区別するべき要因が挟まっている。つまり撮影であり編集でありアップロードでり、そして「視聴者」であるわけです。
 
 
※もちろん厳密には「視聴者」ではなく「想定される視聴し得る意見」くらいのほうが正しいのかもしれませんが。
自分が上げた動画には一定のアクセスが必ず得られるものである、とは思えないです、私には。
 
 
というわけで、言ってしまえば、概ね動画に付く目立って質の低いコメントとは8割ファンデッカス的私怨であるように思われました。統計を取ったわけではないのでこの数値には気分以上の意味はありません。
と思っていたのですが最近はどうもその限りではないらしい、「デッキがつまらない」という意見があるらしい。
 
 
つまりこれは何に対するクレームかというと、先述の「見たい」欲求が満たされなかったというそれ自体に対する不服です。
これは大会やフリーでは間違いなく有り得ない文句です。
デッキが「動画的に」つまらない、翻って「面白くなくてはならない」という意見が出てくるということは、突き詰めれば動画というものがガチともファンとも異なるものであることの証左となるのではないでしょうか。
 
 
それ自体が善し悪しとは言いません。しかしここに対して「配慮の無い不躾な口出し」をする向きは出てきます。
以上から、「ガチデッカス」とも「ファンデッカス」とも違う「動画デッカス」という新しいクレーマーが見出せるのではないでしょうか。
 
 
 

○知らん、管轄外だ

 
 
よく私は大会、フリー、動画の3領域を人称的に区別します。
 
大会:1人称的楽しみ=「自分」の楽しみ
 →「自分が」楽しむためには「勝利」が必要
  →「勝利」が最優先事項。そのために必要と判断されれば図書館エクゾだろうがカウントダウンだろうがチェーンバーンだろうがソウルチャージだろうがエンタープラズニルループだろうがそもそも問題にするところではない。
 
フリー:2人称的楽しみ=「あなた」の楽しみ
 →「自分」だけでなく「相手」も楽しむ/「相手」あっての勝負
  →「相手」を不服にさせることは極力避けたい。壁に向かって回していればいいようなソリティアや過度な妨害など、価値観により何が「不服」と考えられるかは人によるが、相手とのコミュニケーションであることは意識すべき。
 
動画:3人称的楽しみ=「彼ら」の楽しみ=不特定多数の視聴者の楽しみ
 →「自分」「相手」だけでなく「見る人」も楽しむもの
  →様々な側面から「つまらない」内容では見る人は楽しまない、「面白い」遊戯王を動画配信するために工夫すべきであり、そのためにコンボやデッキギミックを考えたりネタを盛り込んだりする。あるいは逆に、自分たちの日常が既に楽しめている様子を伝えられるような形にする。
 
といった具合です。
これらは見ての通り、互いに排他的であるのではなく段階を追って範囲を広げているものであり、一種ピラミッド的な図が見えるのではないかと思われます。
そして、これら各段階において、無闇に声を荒げ、しなくても良いような指摘を文字に残すような場合は、それ相応の呼称をされてしまうのではないか、ということです。
 
 
しかしここまで意図して視界に入れてこなかった要素があります。
動画デッカスはあくまでも仮想敵であることが多いという点です。
 
 
ありとあらゆる動画シリーズに悪質なコメントが付いているわけではありません。
まだ文句も言っていない見えない相手に向かってこんなデッキでいいんだろうかとかこれで動画に出せるんだろうかとかいうシャドーボクシングをすることが必ずしも悪いこととは思いませんが、というか現にそれで多くの方が素晴らしいデッキを組むに至っていたりもするのですが、しかし無闇に気にすることでもないのではないかという気がします。
思い付いたものは使えば良いと思います。
 
 
だいたいが、デッカスなどと蔑称を与えられるような意見は、そもそも的を外していることが多いです。
「そこじゃねえだろ」というツッコミが入ることがほとんどです。
「《○○》と《××》のコンボに、《●●》も加えてみました!」というアピールなのに、「《○○》なんか使ってんじゃねーよ」、と前提を否定するような、驚くべきコメントは案外見られる気がします。
あまりそういったものに反応・意識・依存するのもどうなのよと思ってしまいます。
 
 
 

○ひとまず総括

 
私はまだまだ駆け出しの域を出ないので、幸いにしてそうした意見に頭を抱えたこともなく、ゆえに実際に何事か言われたことのあるような方の心中にぴったり同調できるわけではありませんが、「視聴者」という言葉が頻繁に飛び交っているように感じられたので少し考えてみました。
価値観の相違という便利な言葉で済ませてしまうことのできる話題ではあります。
 
 
また、もちろん何も考えずにデッキを動画にするよりは、何事か中身を練っているほうが楽しめるのは間違いないだろうと思います。
やはり無用なのは過度に余計な口出しである気がします。
そこらへん、独り言と文句の区別が付きにくいツイッターの怖いところではあるのですが。「良いデッキできねえやー」と呟く方が皆「良いデッキ作らねえとは何事だ」と思ってる、というわけではないです。
 
 
ただ、自分の満足のためでなく、視聴者という存在も価値観もあやふやな不特定多数の相手の満足のために気を揉むのは、なんとも疲れる話だなと思ってしまうわけです。
良い物を作りたいというのは正しいスタンスとは思いますが、その「良さ」を決めるのは果たして誰なのか。
 
 
 
以上、主に自分が最近この傾向=動画デッカスにになりつつあるなあ、という気がしてきたので自戒の意も込めてメモを残しておきました。
細かいところがだいぶほったらかしなので少しずつ詰めていければと。
 
 
そういえば今回はデュエル動画とADS動画をあまり区別せずに「動画」と扱ってしまいました。
どこまで差異が出るかはわかりませんが、何か決定的に違うようであれば訂正するかもしれません。
 
 


 
 
閲覧ありがとうございました。
そんなに過激なことを言ったつもりは無いですが、ご指摘等ありましたらなんなりと。