悠久フィロソフィー

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不協和音

考察対象:不協和音


不協和音 永続罠
お互いのプレイヤーはシンクロ召喚をする事ができない。発動後3回目の自分のエンドフェイズ時にこのカードを墓地へ送る。


シンクロ封じを明確に目的としたカード。
全フィールドに干渉する効果と自壊デメリットを持つ。

シンクロモンスターの使用率・性能から鑑みて、シンクロという行為そのものを封じるカードが弱いはずが無い。
シンクロモンスターを切り札に据えたデッキならば壊滅させることができうる。
シンクロは融合・儀式に比べ素材に小物が多いことが逆に手痛さを増すことになる。

しかしいかんせん効果継続時間が短すぎるのが難点。
一応ターンカウントは自分のターンで数えるため『3往復』は場持ちするわけだが、それまでに何かしらの手を打たなければ効果が消えてしまう。
『氷結界の龍 ブリューナク』『宇宙砦ゴルガー』が出ていれば延々と回収することでつなぐことができるが、そもそもこの2枚自体がシンクロモンスターであり、このカードとの相性がすこぶる悪い。
他に候補を探すとなると『霞の谷のファルコン』が挙がるが、攻撃を介するため不安定さが印象強い。
『トルネード・バード』では効果が単発、その効率はひどい。
魔法カードでないため、『聖なる解呪師』で回収できないのも痛い。

総じて繰り返しには不向きということになる。
よって、使う場合にはタイミングを見極めたいところ。

『生け贄封じの仮面』が相手生け贄召喚時に無意味なのと同じく、このカードをシンクロ召喚に対して発動しても効果はない。
しかし生け贄召喚に比べてシンクロ召喚は【前兆】がはっきりしているため、その下準備的効果に対してこのカードを発動すれば上手い具合に罠をかけることができる。
罠カードであることが生きる瞬間である。
最初期の『ジャンク・シンクロン』から最近の『深海のディーヴァ』に至るまで、シンクロシステムは非常に分かりやすい、ということが、このカードの発動しやすさ自体はよりよいものにしているといえる。

効果の範囲が狭いほど戦術を圧迫しない、と考えることもできる。
このカードでこの思考を使うのならば【どうせシンクロしないから大丈夫】か【3ターン後には自分もシンクロできるから大丈夫】ということになるだろう。
しかし前者の考えでシンクロ抜きに3ターン以内に決着がつくかといえばそれは首肯しがたい。
後者の考えも一理ありそうだが、このカードが自壊するのは発動タイミングに関係なく『自分ターンのエンドフェイズ』である。
すなわち、いち早くこのカードによる束縛を逃れられるのは相手プレイヤーということになる。
よって、自分の戦術はどこまでも圧迫し、相手には猶予が残りやすい、という何とも不出来な仕上がりになってしまった感が否めない。

あるいは逆に、スロットをいつまでも圧迫しないことをメリットと考えることもできなくはない。
『王宮の弾圧』にはない撤退性を活かして自分の戦術をサポートしたい。
これでサポートできる戦術があるのならば、だが。

『王宮の弾圧』を使っておけばいいという意見は多いだろうが、流行の『大寒波』下でもシンクロを封印できることがこのカードの強み。
自分の特殊召喚を圧迫しないという点でだけ見ても勝っているといえる。
しかしそれは逆に相手のその他特殊召喚を無効にできないということでもある。

先ほど述べたように、シンクロしないデッキであれば無理なく採用可能。
相手がもたついている間に決着するのは難しいだろうゆえ、むしろ焦らずに体勢を整えておきたい。

何よりも気をつけたいのは、このカードが超局所メタであるということ。
相手を『シンクロ召喚』のみに限っている狭さは『昇天の黒角笛』もびっくりである。
自分がシンクロを使わなければ影響が無いのと同様に、相手がシンクロを使わなければこのカードは意味を成さない。
デフォルトでシンクロと無縁な【ライトロード】【剣闘獣】なり、シンクロなしでも充分強い【BF】【D】相手にこのカードを使っても邪魔なだけである。
『生け贄封じの仮面』以上に狭い範囲であるため、無闇にメイン投入するのは危険すぎる。

同じような効果に『融合禁止エリア』がある。
この2枚を比べるだけで、いかにシンクロが優遇されているかが分かるだろう。

注意したい点として、封じるのは『シンクロ召喚』のみであるということ。
つまり『シンクロモンスターを蘇生する』『シンクロモンスターを帰還させる』ことに対してはなんら反応しないわけである。
間違えないようにしたいところ。

不協和音。
『共鳴』をイメージした『シンクロ召喚』を乱すものとしては適切な単語である。
しかし、それならばもっと強烈にメタしてもよかった気がしなくもない。

『血の沼地』でも思うのだが、これらの持つ自壊効果が『トラップ・スタン』などで無効になった場合はどうなるのだろうか?
『○回目』というタイミングは既に逃しているが、果たして破壊されるのだろうか。
一応問い合わせてみるべきかもしれない。
ちなみにこのカードの自壊デメリットは、『破壊』ではなく『墓地へ送る』である。
『スターダスト・ドラゴン』は反応しないので注意。