悠久フィロソフィー

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疫病ウィルス ブラックダスト

考察対象:疫病ウィルス ブラックダスト

装備魔法の中でも普通とは逆ベクトルに作用するカード。
攻撃を封じ、タイムラグを置いて対象を破壊し、手札に舞い戻る。

『フリント』『呪魂の仮面』等と同じく、『装備したモンスターを弱体化させる』装備魔法。最近はあまり見かけなくなったこの手のカードの中でも、そこそこ有用さを見せ付けている。

そもそも装備カードの特徴とは、発動後に場に残る点にある。
これは長く使えるという長所であり、また除去されやすいという短所でもある。
また永続魔法と違って『装備したモンスターと一緒に消える』性質も大きい。
つまり、永続魔法よりも戦闘破壊、モンスター除去、生け贄やコストといった除去のされやすさが大きいということになる。

この点から考えれば、相手モンスターに装備してこそ効果を発揮するこの手のカードはどうだろうか。
このカードを装備されたモンスターが破壊されるのを防ぐためには、このカード自体を破壊するか、装備モンスターを除去するかの二択。しかし破壊を防ぐために破壊するのはそれこそ無意味なので(一応、このカードを再利用させないという利点はあるが)、このカードを取り除くための手段としては生け贄召喚が適していると考えられる。
だがそう狙ったように生け贄モンスターが手札に来るだろうか。
そうでなくとも事故率の関係で上級モンスターは投入率が低い。
攻撃することは封じられるので、自爆特攻も叶わない。
手札が上手く揃わない限り、モンスター除去によってこのカードを取り除くことは難しいらしい。
では魔法・罠除去では如何か。
装備魔法なので『ハリケーン』では効果が薄い。
『サイクロン』『大嵐』『月の書』はいずれも制限、準制限カード。しかもわざわざこのカードのためだけに使おうと思うのも躊躇われる。
『トルネード』『ツイスター』『砂塵の大竜巻』あたりなら思い切り撃てるだろうが、あまりこのタイプのカードを積むと相手次第で痛い目に合う。
何だかんだ言って、このカードの処理は結構厄介である。

ただ、相手取ると面倒なものの、自分から使おうと思うと『呪魂の仮面』『拷問車輪』のようなものの方が『攻撃封じ』としては向いているとされる。
相手モンスター破壊の点を考えても、『地砕き』『地割れ』『死者への手向け』等々比較対象はあまりに多く、そしてほとんどに劣る。
やはり『2ターン』が長すぎるか。

手札に戻るのは評価点。
装備魔法としては、『神剣―フェニックスブレード』のようにコストを求めず、『執念の剣』のようにデッキトップに戻るわけでもないので、再利用はしやすい。
ただ、もう一度使得る状況になるまでのじれったさは感じられる。

自分モンスターを能動的に事実上ノーコストで破壊できるので、『ユベル』に使うのもアリなのかもしれない。
時間は掛かるが、1体コストが確保できれば第二形態へと進化させることができる。

『疫病ウィルス』とはよく言ったものである。
さっさと処理しないと、永遠にこのカードに苛まれ続けることになる。
とまではいかないかもしれないが。
『ブラックダスト』=『黒いゴミ』だろうか。
攻撃できなくなっただけで果たしてゴミまで成り下がるものなのだろうか、それとも時間を置いて破壊される様子を『腐食』に例えているのだろうか。

イラストで蝕まれているのは……
まさかとは思うが、『ゴブリン突撃部隊』の連中に見えなくもないような。
まさか。

『相手モンスターにも装備可能』というルールを知らしめたカードかもしれない。
『しびれ薬』『細菌感染』の方が先輩だが。
相手に装備できないとばかり思っていたプレイヤーはこのカードの価値がまるで理解できなかったことだろう。
私もその一人なので確証はある。