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オフ会振り返り・イベント企画裏話

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先日10/12開催予定であった改札会(5)が、台風19号の関東接近を受け中止となりました。

多くの方に参加をいただき、また初の試みであるイベントルール2種についてもスムーズに周知されておりました。特に事前申請制のクラウドエクストラに関しては実際の開催日以前からかなりの手間を要求するものとなってしまっていましたが、これもほぼ問題無く集約され、各位からの多大な恩恵に与った形となりました。

それだけに、実際に開催することができなかったのが今日においても無念極まりません。

 

 

今回私が『オフ会で特殊ルールを制定した意図と根拠』について、後付け的ではありますが記載しておきたいと思います。

 

 

 

 

○オフ会のレベル調整は難しい

 

前提も前提、大前提として。

デュエル動画等をアップロードしている方々が主催ならある程度はパワーラインがわかります。罠や誘発が無いと止められないような環境なのか、趣味札を採用する余裕もありそうな環境なのか。テーマ色が強いのか、混ぜ物を楽しむのか。特定のコンボルートを狙うタイプか、デッキ単位で回していくのか。あくまで参考程度の域は出ませんが、大まかな調整ラインは「動画を見てください」で示すことができます。

では、そうではない場合。動画をやっていない、ばかりかブログやツイッターでの構築紹介も特に行っていない人物が開くオフ会のデッキ性能のバランス調整は困難です。基準とする指標が無いのならば自分の思うカジュアルな構築で参加しようというのが大多数の発想かと思われます。もっと言うと調整しようという発想を持つ人自体そもそも少ないのでしょうけども

カジュアルと銘打つオフ会にどんなデッキを持ち込んだとしてもそれを責めることはできません。その人の中ではそれがカジュアルで、それを使いたいと思って持ち込んでいて、ルールはそれを禁じていないのだから。

「CSレベルでなければフリー向け」「誘発を積んでいなければフリー向け」「準環境テーマ以下であればフリー向け」という価値観は正直かなり多数のプレイヤーが持っているものと感じています。あるいは、そもそもフリーとかカジュアルとかいう発想自体持ち合わせていないのかもしれない。

そもそもそういう土台の発想が「強め」な方が来ないような界隈でオフをやれば、という意味でも対戦動画主体のオフ会はアドバンテージを持っているようにも思えます。普段からそこに興味を持つ人、視聴者だけが集まるのですから。ただ一方で普段あまり関わりの無い方と対面でやり合えることもオフラインでイベントを開く意義です(TCGのような物理的なものなら尚更です)。有り難いことに私個人が主導のオフ会を過去に4回行ったうち、それなりの頻度で初めてお会いするような方どうしの対戦が見られています。

だからこそ主催としてはレベルが揃う工夫をしたい。(かつて自分が別のオフやジャンフェスで味わったような)強いテーマデッキにコンボデッキがただいいようにやられる図というのは極力避けたい。避けたいというか、いやそこは突き詰めれば勝つも負けるも各々の自己責任なんですが、主催側から介入できることがあるならやっておくべきという考え方です。

とはいえ参加者のデッキパワー自体を調整することは難しいです。そのため意識したのは、「全員がある程度回せるようにする」ことではなく「全員にある程度縛りを設ける」こと、すなわち『構築の性能に天井を発生させる』ことでした。

 

 

○オフ会での特殊ルールという試み

 

イベントを開催するならそれ用の特殊ルールを実施したいという考え、あまりメジャーではないのでしょうか。動画内でいつも企画大会やられてる大御所さんはいらっしゃいますが……

個別に名前は挙げませんが、これまで私が参加したことのあるオフ会の中で実際にプレイや構築に影響するルールを設けたのはたったの1回だけ、聞いた範囲でも5回を越えません。そしてその中に構築自体に関わるものはほとんど無く、当日にルールを聞かされてプレイを対応させるといったものが多い印象です。

(このあたりは動画オフばかり行っていたから・というのがありそうですが。勝敗とは別にデッキ票を集めたり、チーム戦にするものはいくつかありました)

構築に制限を設ける特殊ルールはそもそも難しいものです。何と言っても準備にかかる手間が圧倒的に勝ります。それはそういうものとして用意する他ないのですが、まずもってそういった文化が浸透していないと億劫さが先立ちます。自分のやりたいように組めないもどかしさもあります。特に予想もつかない特異な動きがカジュアルの面白さでもある以上、これを損ねるのは不満材料、運営的にも美味しくないです。

また、「構築に制限をかける」という発想から思い付く対処法のほとんどは『独自の禁止・制限リスト』になるかと思われます。これはオフ会に限らず、店舗主催のイベントや、CSに近い形で開かれる大会の形態で告知を目にすることが度々あるメジャーな対応です。遊戯王OCG自体がリミットレギュレーションで調整をしているのであって、この制度に乗っかることは理解しやすく、手っ取り早くもあります。

ただ、私個人はこの『独自禁止制限』というものをそこまで信用していません。理由は簡単で、納得できる独自レギュレーションを組んでいる人を実際に見たことが無いからです。これまでに実施されている独自制限がどのようにして制定されたのかは知りませんが、そもそもそこに上記の「強い」バイアスがかかっているような印象があります。視界に映るいちばん強いところを恣意的に取り締まっても次が順次繰り上がってくるばかりです。そうなるとオフ会レベルのプールにもたらす影響も期待できない。

私自身の環境への理解度の低さも加味して、今後も独自制限は使わないと思われます。

さておき、あとは余談ですがもうひとつ、過去に公式に構築を制限するイベントがあったことを覚えていますでしょうか。今回は見送りましたが、あれはあれで上手く調整し機能すればひとつの理想的なプールになった可能性はあったと思っています。要再検討。

 

 

○ルールを組むにあたって

 

いざ構築に制限をという段に入り、意識したのは『太い動きを削る』ことと『個別判断』。そのためのアプローチとしては『メイン・エクストラのそれぞれに制約を与える』こと。どちらかといえば手数に差を生みやすいエクストラデッキに重きを置きつつ両者に縛りを課しました。今後別な企画ルールを考えることがあるとしてもこういった点は変わらず重視するかと思われます。

【3積みできるモンスターを1種にする】【申請されたリストの中からエクストラデッキを作る】というのは、裏を返せば【1種のモンスター以外は3積みできない】【誰にも申請されなかったカードは使えない】という意味で、今回はこれによって「3枚搭載した複数のカードによる安定行動・パターン化の阻害」「コア部分を除いたエクストラデッキ選定の強力な縛り」を設けました。また全体的に性能を落としつつも、落とさずに済む部分はあくまで個々の判断が最低限通用する形です。

『個別判断』というのは存外にオフ会では大事だと考えていて、あるお題が提示されたとき、「私はこのようにしました」と自身の所見を述べるだけで、それで立派に意見となり、比較対照の土台となり、プレイヤーのカラーを増やしていくことに直結するものと捉えています。おそらくはあらゆるイベントで各自行っているであろう考察に輪郭を与え、個々の姿勢やプランを浮き彫りにしやすくしたいと思いました。

特にクラウドエクストラのほうは「誰かが申請する可能性の高い汎用札を、自分の枠を削ってまで確保したいか」などといった簡単な考慮の余地も発生し、それだけで企画性が高くなったかと感じています。あと先の個別判断というのはここで必要な札が得られなくても”自己責任”ですという意味の裏返しでもあります

(どちらかといえば、「誰かが申請する可能性が高いと考えられる札を申請しなかったとき、それが誰にも申請されていなくても対戦に臨めるかどうか」という趣のほうが強かったようにも感じられます)

大まかにルールを決めたのち、相対的に役割の増えるPU札に《禁止令》《マインドクラッシュ》されないよう「宣言されない」補足項を追加して制定しました。

このルールの裏目は、結局エクストラ4枚で充分に戦えるテーマデッキの抑止とならないこと(閃刀、召喚獣、マリンセス等)、PUで選択した手札誘発3積みによる行動阻害を許すこと(特に直前にリリースされたニビルと特定札狙撃が容易なさくら)、そもそもエクストラデッキに頼らないデッキが突出すること(0帝、ジャックナイツ等のほか、PUハイドランダーも憂慮気味でした)などがありました。が、参加者を見つつある程度傾斜として割り切り、適切な立ち回りの解釈を各位に委ねる形で発信に至りました。

結果としては先日アップしたようなリストができ上がり、どうなるのか程よく先の読めない内容に収まったように感じています。面白そうだけど参加はしたくないっていうツイートめっちゃ見ました

 

 

○反省

 

先に挙げたルールの弱みのほか、クラウド公開⇒オフ実施までのデッキ構築期間が5日と非常に短かったこと、クラウド集計締切の直前にリマインドを発信できなかったこと。

日数が不足したのは会場探しに手間取ったため、そのしわ寄せを受けてのことなので次回があるなら本当に気を付けたいです。リマインドについては例大祭やってたので仕方ないところは多少あった(

またルールの文面に一部明解でないところがあり、特に「『宣言』されない」点と「3枚積めない(=2枚までならOK)」点に関して質問のDMを複数いただきました。ルール制定の文章はもっと厳密に推敲すべきだったかと反省があります。

そしてこの企画の最大の難点は参加者が少ないとクラウドの集まりが悪く根本的にイベントとして成り立たないというものでした。これについては実はそれなりに案じていましたが、結果的には15名提出・57枚申請という数に至り、適正な枚数が確保できたと見ています。参加者の皆様のお陰です。

オフ会自体の日程は3ヶ月ほど以前から定められていたため台風の影響は不可避でした。悪しからず仕方ないね。

 

 

○そのほか

 

ご存知の方はお気づきとは思いますが、クラウドエクストラのルールには元ネタがあります。

 

www.nicovideo.jp

 

これに限らず、こうしたゲーム実況の大会に近い形式での対戦は、長らくやってみたいと思い続けてきたことでした。

今回残念ながら実際の開催には至りませんでしたが、ルールが面白い、他の人のプランを聞きたいといった意見は多くいただいており、少しでも前進することができた手応えはあります。

あわよくば、ルールの面白さだけで、主催とさえ面識の無い方が参加するきっかけを作ることに繋がれば、という思いがあります。まして私のような無名であれば尚更……

 

公式のレギュレーションでは不服としてか、ドラフトやゲートボールなどと俗に呼称されるルールでイベントが行われることが一時期大変に盛んでした(今は知りません)。

それらとはまた異なる仕組み・アプローチで、変則的なルールを用いて対戦を行うことに面白さはあり、オフ会のような場でスタートラインを整える役割にあてがうことも同時に可能なのではないかという予感があります。

小~中規模のオフを開催する際には、こういったものの検討も一考してみてはいかがでしょうか。開拓の余地は大きいと思われます。言っていただければ私も考えます

 

オフが中止となってしまったことは重ねて残念でしたが、今回のような企画があるのだということについて一定の理解が得られたことは大きな意味があると思います。

次があるならば、今回の反省も踏まえつつまた何か企画したいと考えておりますので、その際はお付き合いいただけますと幸いです。